営業本部 地域創生グループ 大竹 美沙貴さま・営業本部 地域創生グループ 井上 雄太さま
https://jr-central.co.jp/東海旅客鉄道株式会社(英表記:Central Japan Railway Company)様は、日本の大動脈輸送である東京~名古屋~大阪の新幹線輸送、名古屋・静岡を中心とした東海地域の在来線輸送を担うとともに、鉄道事業との相乗効果が期待できる分野を中心に関連事業を展開されております。今回は営業本部 地域創生グループのご担当者様に、「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン施策におけるタレント起用、タレント起用の秘話、またファンや利用者からの反響などをお話しいただきました。
投稿者: Rina2025年11月25日
東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)は、主に新幹線と在来線の運行を担う鉄道事業を行っています。鉄道事業に付随して、新幹線の利用者を増やして運輸収入を増加させるという目標があります。
私たちが所属する地域創生グループでは、「そうだ 京都、行こう。」をはじめとする観光キャンペーンを展開し、沿線の地域を盛り上げる取り組みを行っています。例えばコロナ禍の時期ですと、「ずらし旅」という旅行商品を、旅行会社と協力して、各地で展開しました。この「ずらし旅」というのは、時間や場所、旅先での移動手段などをずらすことで、平日にのんびり観光できたり、ピーク時を避けてスムーズに移動できたりすることで、定番からずらした新たな旅の魅力を発見できる、というキャンペーンです。
また、最近ですと富士山エリアを取り上げる「もれなく富士山」というキャンペーンや、「円空のあしあと」という、仏像をテーマにしたキャンペーンを展開しています。これらのキャンペーンにおいて私たちは、外部の事業者との協業に向けた交渉やPR業務、観光コンテンツの企画を担っています。
「そうだ 京都、行こう。」は、おかげさまで30年を超えるキャンペーンになっています。当初、平安遷都の1200周年を記念するキャンペーンとして、その前年である1993年から開始しました。
首都圏のお客様をメインターゲットとしており、東海道新幹線を利用して実際に京都を訪れて、観光をしていただくことが、大きな目的です。京都という街の普遍的な魅力をお届けするため、CMに原則タレントは起用せず、絵葉書のワンカットのように見える広告の手法を大切にしており、さらに毎年それぞれ叙情的なキャッチコピーを加えています。
また、京都には何千年も続いてきた歴史があり、地元の方も歴史や街の雰囲気を大切にされているので、そうした歴史や地域の方の想いに丁寧に寄り添いながら、プロモーションを行っています。

2025年夏の「そうだ 京都、行こう。」は、初夏の“しつらえ”をテーマに京都の魅力をお伝えするキャンペーンです。しつらえとは、京都に根付く文化のことで、平安時代に宴や儀式のために準備をした“室礼(しつらい)”に由来しています。京都では季節の移ろいに応じて、住居や空間の装飾を丁寧に整える文化が今もなお受け継がれていると聞いていますが、今回のキャンペーンでは京町家や社寺など京都の伝統的な空間の中で、日本の美意識を体感できるような体験をご用意いたしました。
2024年夏は“京都の唯一無二の癒し”をテーマにしており、癒しはどこから感じられるのか、ということをさまざまな方面から調査しました。調査を通して、京都ならではの時間の流れ方や、空間の雰囲気から「癒し」を感じ取ることができるものと考えて、そこから今回の“しつらえ”にフォーカスするようになった経緯があります。CMでは街中に息づく人の営みや京町家の空間美などを表現するように心がけて制作しました。
このキャンペーンを若い世代にもっと知っていただき、京都に興味を持っていただく良いきっかけはないか、と模索している中で、タレントの方とコラボした企画は効果があるのではないかと考え、起用に至りました。
2023年の仏像のキャンペーンを開始した際に、若い方に人気があって、仏像や京都に親和性がある方を探していました。そこでYOU MAY Castingさんの方から阿部顕嵐さんをご提案いただきました。社内では“ちょっと意外だった”という声もありましたが、長く続いている「そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンの様々な魅力を、もっと若い年齢層のお客様に知ってほしいという目的があったので、その点を期待して阿部顕嵐さんにお願いすることになりました。

起用初年度の2023年はSNSによる発信のみという形で、京都の魅力を阿部顕嵐さん本人に発信していただく形でご協力いただきました。
翌年の2024年は、前年の反響が大きかったため、初めて観光コンテンツを販売しました。3ヶ月限定のコラボアクリルスタンド販売や阿部顕嵐さんのおすすめ旅マップの作成など、期間限定のグッズを制作し、加えて2023年と同様にSNSで阿部顕嵐さん本人に発信していただきました。アクリルスタンドは1日も経たずに完売し、追加制作が必要になるほど反響や売上が良く、盛り上がったキャンペーンとなりました。
2023年、2024年の反響が大きかったこともあり、2025年もぜひお願いしたいと思い、依頼させていただきました。
2025年は、前年より内容を充実させ、6つの観光コンテンツを販売いたしました。また、対象店舗である飲食店やお土産屋さんを実際にご利用いただき、現地でアクリルスタンドやトレーディングカードなど限定品と引き換えていただく商品です。対象店舗としては、西尾八ッ橋や前田珈琲、京漬物もりなど京都の老舗のお店、さらに鴨川沿いのロケーションにあるレストラン・SOMAをご用意し、京都市内で使える「地下鉄・バス1日券」とのセット商品など、観光にも使い勝手の良いものを展開しました。また、これまで同様に阿部顕嵐さん本人のSNSによるPRも継続して行っていただきました。
2024年はアクリルスタンドの展開でしたが、2025年は、YOU MAY Castingさんから、世間的に人気の高まっているトレーディングカードでの展開をご提案いただきました。店舗ごとに少しずつトレーディングカードのデザインを変えて、全部の場所に訪れたくなるような、より京都の魅力を知ってもらうための仕掛けを意識したプロモーション展開を実施しました。
対象店舗は実際に阿部顕嵐さんに、気になるお店をチョイスしていただきました。撮影の際にその店舗を訪れたことで、阿部顕嵐さんのご意見をしっかり反映できたすごく良いコンテンツにできたのではないかと思っています。
例えば、コラボ八ッ橋はパッケージに阿部顕嵐さんのイラストが描いてあったり、中のお味は阿部顕嵐さん本人に選んでいただきましたし、漬物の詰め合わせは組み合わせを撮影当日に実際にチョイスしていただきました。

一番はファンの方に喜んでいただくために、阿部顕嵐さんの魅力が伝わるようビジュアルを大切にしたい、という思いがありました。また、「そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンとして、グッズ全体のデザインは、京都らしさがしっかりと伝わるように意識しました。どちらか一方に偏るのではなく、ファンの方の満足度も意識しながら、京都らしさも意識する、といったバランスを重視しました。
特にトレーディングカードに関しては、細かいところなのですが、表面に“ラメ”をどれくらい入れるのか(阿部顕嵐さんのお顔がしっかり見えてファンの方が喜んでくれるにはどのくらいのラメが良いのか)…など、YOU MAY Castingさんとも試行錯誤しました。カメラマンさんにも良いショットをたくさん撮っていただいたので、捨てがたい写真が多く、セレクトに時間を要してしまう嬉しい悩みもありました。
私たちもSNSをよくチェックさせていただくのですが、初年度から「京都に行ってきました!」と、阿部顕嵐さんの訪れた場所を訪れてくださるファンの方の投稿を拝見しています。
また3年目となる今回は「今年も待ってました!」といった継続起用に対する喜びの声もかなりありましたので、楽しみにしていただいている方がいるというのは私たちとしても嬉しい限りでした。対象店舗でコラボ商品をたくさん購入してくださっていたり、実際に京都に行った写真や、アクスタを持って撮影した写真などをSNSに投稿してくださる方も多く、反響が大きいと感じています。
また、自分たちの友人や周りにもファンの方が実際にいたので、こっそりどういう表情が好きなのか、ヒアリングもさせていただいて、ファンの声として参考にさせていただきました。
このコラボが、今まで知らなかったお店やお寺に行くきっかけになった、というお声を多くいただきました。
このコラボの目的であった、若いお客様に京都キャンペーンや京都の魅力を知ってもらうことに繋がっていると実感でき、「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンの担当者としてもとても嬉しく、励みになりました。実際に「旅行プランを予約しました」「京都に行くきっかけになりました」といったお声をかなり多くいただきましたが、本当にありがたい限りです。

「普段のお客様の層とは違う層にアプローチできる」という点が一番大きな強みだと思います。また、阿部顕嵐さんに関してはファン同士の繋がりが強くて、SNSによる拡散力も非常に大きく、“推し旅”のような力がとても強いのだということを改めて感じました。
初年度からそうですが、今回も、阿部顕嵐さん本人が京都にとても興味を持って、魅力を詳しく発信していただけたというところは非常に良かったと思っています。このように、タレントの皆さんの発信力によって、お客様に実際に行ってみようという気持ちが生まれることも多いと思うので、今後も新たなお客様への訴求をする際には、タレントの皆さんとの連携も方法の一つとして検討していければと考えています。
先ほどもありましたが、阿部顕嵐さん本人が前向きに考えて、興味を持ってくださっているということが私たちとしてありがたかったです。ご本人がやりたいこと、行ってみたいところを自分でチョイスして、心から楽しんでいる様子が、画像などを通してもファンの方に伝わっているのではないかと思います。
この夏のキャンペーンも、酷暑をはじめとして色々な課題を感じましたが、そういった中でも、お客様にどうやって自分なりの京都の楽しみ方を見つけていただき、京都に行きたいと思っていただくか、様々な手法を検討し続けていく必要があります。京都の魅力をより多くのお客様に届けるために、様々な手段を用いて取り組んでいきたいと考えています。

桜と紅葉が取り上げられがちな京都ですが、四季折々、色々な魅力があります。また、歴史的なイメージも強いと思いますが、グルメや若い方向けの夜のコンテンツなども増えてきて、幅広い世代の方にお楽しみいただける場所になっていますので、ぜひ京都にお越しいただければと思います。
京都には京都市内の有名なエリアだけではなく、それぞれのエリアでそれぞれの魅力があって、多様な楽しみ方があるので、そういった魅力を色々な手段で取り上げて発信できるように、私たちもアンテナを張って観光コンテンツの企画やキャンペーンの設計につなげていきたいと思っています。
東海旅客鉄道株式会社(JR東海)様
https://jr-central.co.jp/本社所在地:〒108-8204 東京都港区港南二丁目1番85号 JR東海品川ビルA棟
設立:1987年4月1日
代表者:代表取締役社長 丹羽 俊介
資本金:112,000百万円
従業員:18,514人
事業内容:鉄道事業、関連事業
ユウメイキャスティング キャスティングディレクター。
アイドルやインフルエンサーなど、Z世代を中心としたマーケットのキャスティングに多く携わる。
広報・プレスの一面も持ち、多角的視点から企業や商品の広報活動やプロモーションの提案も得意とする。