
投稿者: ユータ 2021年08月14日
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さて、今回はモデルを使用してからのお話。
無事撮影も済んで、広告も出来上がった!達成感!お疲れさまでした。
しかし、“モデルを使用する”ということは、これで終わりではありません。
“定められた肖像使用期間を守る”
というのも大切な仕事のひとつです。
そして、たびたびご相談頂くのが、
「突然『モデルの使用期間が過ぎているのでWEBから撤去してください』と言われた。。」
「モデル事務所から『売れっ子になった』という理由で、次回の契約更新で“ギャラの見直し”の話をされている。。」
「モデルの所属事務所が変わり、新しい事務所から『現在の広告の出演は更新できない』と言われている。」
などなど、急にそんな事を言われても困りますよ…とお困りの企業様や制作会社様の声。
私達キャスティング会社は、モデルを起用した多くの企業の販売力が向上する事とより多くのモデルが活躍する事を願っています。
だからこそ撮影後のサポートも万全に行うことも使命だと思っています。
今回は、何故このような”かけ違い”が生まれてしまうのかを整理し、
読んでいただいた皆様がもっとスムーズにモデルを起用いただけるようになるよう、まとめさせていただきます。
目次
“いつからいつまで”
“どこに”
“誰を出演させる”
この3つさえしっかり提示できれば、正確なキャスティングと金額設定が可能です。
つまり、
モデルの出演料=『肖像使用期間・出演期間』×『媒体(露出の多さ)』×『モデル(のランク)』
というのがギャラを算出するにあたっての基本的な考え方。
たまにご相談を受けることもありますが、使用期間を定めない「買取り」は実はほぼ皆無に等しい現状です。
モデルにはその広告の契約期間が決まっていて、多くのモデル事務所がこの計算式を元に出演料を算出しています。
故に使用期間には必ず“終わり”がついてまわります。
そして少し厄介なことに、この”終わり”を通知するルールは曖昧で、
「肖像使用期間の終了に対して充分な時間をもって連絡をしてくれる事務所」もあれば、
「契約期間を過ぎてようやっとアラートをあげてくる事務所」更には、
「使用期間の終了について、全く連絡をしてこない事務所」…と、
モデル事務所の数だけ連絡パターンがあることです。
もちろん事務所側が管理・通知してくれることが理想であり”原則”です。
しかし、現実なかなか追いつかない…。
その理由は、事務所マネージャーの仕事の多さに起因するようです。
モデル業界では、多くの事務所はスタッフが10人以下と少数精鋭で仕事をこなしています。
また、一般的なモデルの仕事の決定率は売れているモデルでも2~30%。
逆算するとモデル事務所には”決定案件の約5倍から10倍程度の案件が絶えず発生している事”になります。
大手の事務所であれば案件管理システムやスケジュール管理のシステムもあろうことですが、ほとんどの事務所はアナログな管理をしています。
モデルのケアをしながら日々それをまわすとなると、
使用期間の終わりに向けて先回りして連絡してくれる余裕がある事務所と、そうでない事務所が混在する事はなんとなく想像できます…。
私たちのようなキャスティング会社を介してモデルを起用した場合は、モデル事務所・クライアントの橋渡し役となり、肖像期間の管理も行います。
多くの場合、どのようなクリエイティブについても、管理を担当するキャスティング会社や制作会社がモデルの使用期間終了に近づくと、
“使用中のクリエイティブを引き続き使う?”
“広告を取り下げる?”
“別のモデルを使って制作しなおす?”等々…
これらの選択をクライアントに確認する構造になっています。
このようにモデル肖像期間管理だけでも大変な工数と手間がかかっています。
バラバラの事務所、契約方法もバラバラ。
加えてギャラの見直しというモデル単位の調整までかかるとなると更に時間がかかります。
また使用期間の終了を直前に通達されたとしても、再撮影だけでもコストがかかりますし、イチから制作しなおす猶予もありません。
せめて「余裕をもって教えてくれれば・・・」ということもありますが、
兎にも角にも肖像期間についてはスポンサーには話をしにくく、制作を担う方にすれば、ストレスのかかる作業です。
とは言え、使用期間がある以上、それを反故にすればエージェンシーとの契約違反になるだけでなく、使用期間を過ぎたモデルを勝手に使う事は
使う側にもリスク(ex.競合の広告に出演している、既にモデル業界を去っている、ネガティブなトラブルを抱えている…)が付いて回る事もあり、
決しておススメできる事ではありません。
後編では、そのよくある事例3パターンから、防ぐ方法、伝授します!(コラム『【トラブル回避】モデルの肖像期限とは?過ぎるとどうなる?』)
ユウメイキャスティング チーフキャスティングディレクター。
上京後20代前半は飲食業界に尽力。その後、モデル・広告業界に飛び込み制作・モデルプロモーションツールデザインに就く。モデル業界のノウハウを以ってユウメイキャスティングの中枢機能として活動。ユウメイキャスティングでは様々な企業広告の提案活動に従事する。